思考回廊

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退屈すぎるリメイク版「日本のいちばん長い日」を観て、再確認する昭和版の「狂気」と「スピード感」。

 原田眞人によるリメイク版「日本のいちばん長い日」を、上映開始日の最速上映時間に映画館で観た。しかし、終始退屈であった。

 一方で、1967年に公開された岡本喜八による昭和版「日本のいちばん長い日」は、昭和天皇が終戦の詔書鈴木貫太郎に命じるまでわずか20分、そこでタイトルバックが流れ、残りの時間は「8月15日の玉音放送に至るまでの24時間がいかに濃密であったか」というテーマを描き切ることに注力する。迫るタイムリミットに、視聴者は手に汗を握る。

 三船敏郎の握る日本刀で描写する威厳、黒沢年男天本英世の怪演など、昭和版は俳優に力があった。それを差し引いても、残念ながら昭和版の出来の良さを浮かび上がらせる程度の価値しか、リメイク版には見い出すことができなかった。

日本のいちばん長い日 [東宝DVD名作セレクション]
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