別に旨くはないが評価したい、富久錦 Fu レビュー
富久錦の純米酒"Fu"を飲んだ。
小洒落た名前とロゴから、てっきりワインではないかと思うところだが、そう。飲み口はまるで白ワインだ。もちろんこれは日本酒なのだが、日本酒とはかけ離れている。度数は8%、日本酒度はマイナス60%。
正直言って別に単体では旨くはない。甘酸っぱく、後味も違和感がある。フルーティといえばフルーティだが、甘すぎてややエグい。
しかし食前酒と考えれば後味の違和感も大した問題ではない。チーズ、レーズン、洋食など、白ワインに打って付けの料理と一緒に味わうのであれば、これほど奇をてらいつつも適切なチョイスはない。実に合う。そして何よりこれは白ワインではない。日本酒でありながら、白ワインのシチュエーションが相応しい"Fu"は、日本酒の裾野を大きく拡大する野心作と言えるので、その志の高さを大いに評価する。